心臓が持つ「小さな脳」がストレスから心臓を守る
心臓の制御に関する新たな研究が、その理解を大きく変えつつあります。心臓の拍動は脳からの信号だけでなく、心臓自体に組み込まれた神経ネットワーク——心臓内在神経系(intrinsic cardiac nervous system)——によっても調整されています。このたび Cell 誌に発表された研究により、この神経系が極度のストレス下でも心臓の安定した拍動をいかに維持しているかが明らかになり始めました。
米エール大学医学部の Rui Chang 氏らの研究チームは、マウスのすべての心臓神経細胞を遺伝子標識し、遺伝的に異なる2つのサブタイプを特定しました。一方の Npy+ 神経細胞は、拍動が速まった心臓にブレーキをかける役割を担う一方で、心臓を拍動させ続けるためにも不可欠であることが分かりました。もう一方の Ddah1+ 神経細胞は当初その役割の解明が難しいものでしたが、これらの細胞を欠いたマウスがストレス下でしばしば死亡することが判明しました。この神経細胞を除去すると心臓はストレスに対して脆弱になり、逆に刺激すると生存率が向上したのです。
この成果は、すべての心臓神経細胞が同様に機能するという従来の見方に一石を投じるものであり、研究チームは、心疾患のより優れた治療法につながる可能性があると指摘しています。
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