Case Review

Influences of mitral annuloplasty on left ventricular flow dynamics assessed with 3-dimensional cine phase-contrast flow magnetic resonance imaging
目的
僧帽弁修復における環流形成術が左室(LV)渦流パターンと大動脈流出パターン、および流れのエネルギー損失(EL)に及ぼす影響を評価した。

方法
健常ボランティア20名と僧帽弁形成術を受けた患者14名を3次元シネ位相コントラスト磁気共鳴画像法を用いて検査した。バンド群にはセミリジッドバンドを装着した患者7名とフレキシブルパーシャルバンドを装着した患者2名が含まれた。リング群には半硬性完全リングを装着した5例が含まれた。1心周期のLV渦流パターン、大動脈流出パターン、EL、大動脈輪の変化を評価した。

結果
僧帽弁修復術は健常人と異なる渦流パターンを誘発した。半硬性デバイスを用いた場合、僧帽弁前縁下の渦は拡張初期には二本鎖状であったが、可撓性バンドを用いた場合は一本鎖状であり、拡張期には心尖側に大きくシフトした。僧帽弁修復術を受けた患者のLVEL(0.84±0.42mW)は、健常ボランティア(0.47±0.10mW)よりも大きかった。コンプリートリングは大動脈流出パターンを乱し、EL分布が変化した。患者の体格に比して小さいデバイスはLV流パターンを乱し、高いELを引き起こした。指標化されたリング開口部面積と伝達平均圧較差(r = -0.25, P = 0.414)の間には有意な関係は認められなかったが、指標化されたリング開口部面積とLVELの間には負の関係が存在した(r = -0.84, P < 0.001)。

結論
僧帽弁形成術は、特に比較的小さな環状形成術リングを用いた場合、異常なLVフローパターンとEL上昇を誘発し、僧帽弁形成術後の新しい血行動態評価法となる可能性がある。
Reference
Hiroko Morichi CE a, Keiichi Itatani MD, PhD a, Sachiko Yamazaki MD, PhD a, Satoshi Numata MD, PhD a, Kosuke Nakaji MD b, Nagara Tamaki MD, PhD b, Hitoshi Yaku MD, PhD a, "Influences of mitral annuloplasty on left ventricular flow dynamics assessed with 3-dimensional cine phase-contrast flow magnetic resonance imaging", The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery, Volume 163, Issue 3, March 2022, Pages 947-959 (2023) https://doi.org/10.1016/j.jtcvs.2020.04.127.
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