Differences in blood flow dynamics between balloon- and self-expandable valves in patients with aortic stenosis undergoing transcatheter aortic valve replacement
この研究は、大動脈弁置換術(TAVR)に使用される2種類の生体弁、すなわちバルーン膨張式弁(BEV)と自己膨張式弁(SEV)の間で血流動態にどのような違いがあるかを比較することを目指していました。この研究には、2018年5月から2021年11月までにTAVRを受けた重度の大動脈狭窄症の患者98人が参加しました。
研究者たちは、TAVR手術前後の上行大動脈(AAo)における血流パターン、壁せん断応力(WSS)、およびエネルギー損失(EL)を調査するために、四次元流体心血管磁気共鳴(4D flow CMR)を使用しました。
研究結果では、TAVR後、自己膨張式弁(SEV)群は、バルーン膨張式弁(BEV)群と比較して、螺旋流と流れの偏心率が大幅に減少したことがわかりました。また、平均WSSもSEV群でより大きく減少しました。しかし、上行大動脈における収縮期エネルギー損失の減少は、TAVR後の両群で同様でした。
結論として、この研究は、移植される弁の種類が血流動態に影響を及ぼす可能性を示唆しています。SEVの移植は、BEVの移植と比較して、上行大動脈における螺旋流、流れの偏心率、平均WSSの減少がより顕著でした。これらの洞察は、大動脈狭窄症の患者に対するTAVR手術でどのタイプの弁を使用するかを決定する際に有益である可能性があります。研究者たちは、これらの血行動態の変化が患者の結果にどのような影響を与えるかを確認するために、さらなる大規模な研究が必要であると提案しています。
Reference
Yuki Takahashi, Kiwamu Kamiya, Toshiyuki Nagai, Satonori Tsuneta, Noriko Oyama-Manabe, Takeshi Hamaya, Sho Kazui, Yutaro Yasui, Kohei Saiin, Seiichiro Naito, Yoshifumi Mizuguchi, Sakae Takenaka, Atsushi Tada, Suguru Ishizaka, Yuta Kobayashi, Kazunori Omote, Takuma Sato, Yasushige Shingu, Kohsuke Kudo, Satoru Wakasa & Toshihisa Anzai , "Differences in blood flow dynamics between balloon- and self-expandable valves in patients with aortic stenosis undergoing transcatheter aortic valve replacement", Journal of Cardiovascular Magnetic Resonance, 25, Article number: 60 (2023) (2023) https://doi.org/10.1186/s12968-023-00970-9.
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