先天性心疾患治療における血流解析手法の役割
本レビュー論文では、情報処理や画像処理が循環器臨床にどのように活用されているかを体系的にまとめており、特に血流解析へのアプローチや予測の手法に焦点が当てられています。
フルカラー3D動画や血流解析技術の進展により、心臓血管の内腔での血流情報が詳細に把握できるようになりました。特に、先天性心疾患の管理や治療において血流解析は重要な役割を果たしており、遠隔期の予後改善にも貢献する可能性があります。
流体力学を応用した血流解析手法は、超音波やMRIなどの計測画像に基づくものとシミュレーションに基づくものがあります。これらの手法は「現状診断」から「予測診断」へと診療を質的に変革する可能性を秘めています。また、先天性心疾患の成人期においても血行動態を明らかにすることで、治療方針の決定に更なる利点があるだけでなく、カテーテルでは測定困難な疾患の解析にも有用な手段となります。
血流解析は異常血流の力学的ストレスやエネルギー損失を可視化・定量化・計測する手法として、他にも異常な血流が発生する機序の解明に特に重要視されています。将来的には先天性心疾患の治療や診断において重要なツールとしてますます期待されています。
Reference
板谷 慶一、山岸 正明、夜久 均, "先天性心疾患治療における血流解析手法の役割", 日本小児循環器学会雑誌, 33 巻 5 号 p. 371-384 (2017) https://doi.org/10.9794/jspccs.33.371.
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