かかりつけ主治医の先生方へ
現在国内でも60万人近くの成人先天性心疾患(ACHD)の患者さんがいると推定されその数は1万人ずつ増えているとされるなかで、先生方の御専門を問わずACHDの患者さん達を診察する機会は一定頻度であるのではないかと思います。若年の社会人や学生さんの患者さんを前に、生活のご相談を受けながら、「そもそもこの患者さんはこのまま通院していて本当に大丈夫なんだろうか」とか「いつか追加の治療を行わないと突然具合が悪くなるようなことがあったりするのか」とか「どういう専門的な検査がどこで受けられるのか」などといった希少疾患ならではの疑問を抱かれると思います。ACHDは近年では成人式を迎える前でも思春期から学校生活や進学や就職への不安を抱える方も多いため、近年はより早期からAYA世代(adolescent and young adult)から考えることが少なくなく、主治医として患者さんの将来まで見据えてお付き合いされている主治医の先生も少なくないと思います。
当オンライン相談室ではそのような先生方のちょっとした疑問や懸念を解決して、安心して患者さんに寄り添って診療ができるような窓口として開設いたしました。周知のとおり成人先天性心疾患の患者さんたちは複雑な解剖に生まれ修復手術を数度受けることもあり、そして数十年たって心機能や弁や血管などの問題が積み重なります。一方で心臓手術の歴史はまだ浅く、十分な診療エビデンスがなく、このため一人一人の患者さんが一人一人異なる問題を抱えていると言っても過言ではありません。
板谷医師は日本でも最も早期からACHDの外科手術に注力してきた心臓外科医で、過去に複数の政令指定都市で成人先天性心疾患センターを立ち上げ、その外科医療と血行動態の問題に尽力してきました。そしてこの度、より大きくてより広い患者さんの受皿を構築するべく、順天堂大学心臓血管外科に赴任しました。本相談室では、「どのような疾患でどのようなタイミングでどのような専門的な検査が考えられるか」とか「将来追加治療が必要ならどれくらいのタイミングでどのような治療を考えるのが妥当で、就労や生活がどのように変わると考えられるか」などと言ったACHDの血行動態や心機能の問題、外科的な専門的見地からご相談をお受けすることが可能です。
成人先天性心疾患での再手術について
成人先天性心疾患では小児期に修復した心臓弁や血管に再治療が必要になったり、成長とともに不整脈や心不全を併発し、その治療が必要になったりします。これらの手術治療においては何度目かの再開胸手術となり、特に難易度やリスクの高い手術とされています。
これらの手術加療においては生命の危機にあるような緊急の患者さんだけではなく、日常生活の中で疲れやすさや動悸を自覚する患者さんたちの中でも必要とすることは稀ではありません。特に成人先天性心疾患の患者さんたちの中には学校や仕事に通い社会生活を営んでいる方も少なくなく、就労や運動、妊娠出産にともなう心負荷に耐えられるように適切な時期に手術を受けることは大切なことです。
しかしながら、このような成人期先天性心疾患での外科手術は内容が極めて高度であるために日本を含む先進国の中でもこのような手術治療を行っている病院は決して多くはないのが実情です。板谷医師はこのような疾患に特化した心臓外科医で、豊富な手術実績を有し、複雑な解剖のいかなる病態にも治療にあたってきました。過去には下記のような先進的な手術を行ってきました。このオンライン相談室ではセカンドオピニオン等を受けようか、手術を受けるならいつどこで受けるのがいいか、等で悩んでいる患者さんの相談に乗ることができます。下記がこれまで板谷医師が専門的に行ってきた手術内容です。
- ファロー四徴症などの肺動脈弁を修復した後の成人期の肺動脈弁置換、および僧帽弁や三尖弁形成、不整脈手術との同時手術
- ファロー四徴症などでの右室流出路弁付き人工血管を用いた修復(ラステリ手術)後の再手術
- 先天性心疾患手術後の大動脈基部の再手術(自己弁温存、人工弁置換)
- 先天性の房室弁に対する形成手術や弁置換手術
- 単心室修復手術後(フォンタン手術後)の血行動態の破綻や不整脈に対する再手術
- 体心室右心不全に伴う両心室ペーシングや房室弁逆流に対する手術
- エプスタイン奇形などの三尖弁疾患に対する弁形成や弁置換手術
- 肺高血圧や心臓弁膜症を伴う短絡疾患(心房中隔欠損、心室中隔欠損、房室中隔欠損、肺静脈還流異常症など)における内服治療と複合手術加療
- 動脈管開存症や大動脈縮窄症における大動脈弓手術
- 先天性冠動脈疾患に対する冠動脈修復手術や冠動脈バイパス手術
先進的な血流解析研究について
このような複雑な手術は単なる手術経験の蓄積だけでは容易には成し遂げることはできず、そもそも成人先天性心疾患では経験やデータの蓄積が不十分でまだ解明されていないことはたくさんあるとされています。板谷医師は世界に先駆けて血流解析という心臓や血管の中での血流を可視化し、シミュレーションする方法を開発してきました。血流解析は先進的な医学研究の一つですが、適切な診療と組み合わせることで、一人一人の患者さんの心臓の問題点を包括的にアセスメントし、また入念な治療のプランニングを行うことが可能になります。
これらの情報は複雑な解剖の先天性心疾患の心機能や血行動態の問題を紐解くには重要な役割を担います。手術にならなくても、先天性心疾患での心機能や血行動態を手に取るように把握する4Dイメージングで検査を行い、心臓や血管の状態に何の問題もないことが分かれば安心して生活を送ることが可能になると思います。このような検査を受けた方がいいかどうか、等の相談をこのオンライン相談室ではご相談することができます。また、ご紹介いただきました患者さんの解析結果についてはご要望があれば通常の診療情報提供とは別途共有させていただきます。
ご相談いただける内容
- 専門的な精密検査の是非のご相談
- 経過観察や検査や治療の方針
- 順天堂成人先天性心臓外科外来への紹介前相談・紹介可否の確認
- 就労や就学、妊娠・出産等の生活に関わる管理