どのような方が対象か
成人先天性心疾患 ACHDとは
心臓病のこども、先天性心疾患をもって生まれたお子さんたちもいつかは大人になります。先天性心疾患は出生児の約1%に存在するとされますが、医学の進歩は目覚ましく、小児医療技術が向上した今日では複雑な先天性心疾患で生まれても9割以上が成人式をむかえるようになっています。これらの心臓病のこどもたちが成人した後の状態を『成人先天性心疾患(ACHD: adult congenital heart disease)』と言い、日本では現在60万人近くの成人先天性心疾患の患者さんがいるとされ、毎年1万人ずつ増えています。成人式を迎える前でも思春期から学校生活や進学や就職への不安を抱える方も多いため、近年はより早期からAYA世代(adolescent and young adult)からACHDのことを考えることが少なくありません。
成人先天性心疾患の患者さんの中にはこどもの頃に診断がつかずに治療を受けそびれ高齢者になって心臓弁膜症や心不全や不整脈を合併して診断される方もいます。また、こどもの頃に小児医療センターなどで手術治療を受けた後に成長や加齢に伴い、心臓弁や血管に不具合をきたし、運動や就職、妊娠・出産などで心臓に負担のかかることに制限を受けることもあります。これらの患者さんでは心臓の解剖や機能が複雑であり、専門病院での診断や再手術を必要とすることも決して少なくありません。
成人先天性心疾患の患者さんたちは複雑な解剖に生まれて修復手術を数度受けることもあり、そして数十年たって心機能や弁や血管などの問題が積み重なり、一方で心臓手術の歴史はまだ浅く、このため一人一人の患者さんが一人一人異なる問題を抱えていると言っても過言ではありません。このような患者さんの受皿が不足していることが叫ばれてから10年以上の歳月が過ぎ、医師たちや患者団体の努力の甲斐あって、国内でも専門的な施設での診察が受けられる体制が徐々に整い始めています。しかし、現実には上述のように複雑な解剖や心臓血管機能のため詳細な診断や手術治療となると対応できる施設はごくごく限られています。
板谷医師は日本でも最も早期からACHDの外科手術に注力してきた心臓外科医で、過去に複数の政令指定都市で成人先天性心疾患センターを立ち上げ、その外科医療と血行動態の問題に尽力してきました。そしてこの度、より大きくてより広い患者さんの受皿を構築するべく、順天堂大学心臓血管外科に赴任しました。そしてより多くの患者さんたちに門戸を開くべく、オンライン相談室を開催することとしました。
このような方が対象です
1. 主に小児期に診断や治療を受けた患者さん
- ファロー四徴症や両大血管右室起始症などの手術後の患者さん
- こどもの時に肺動脈弁を手術したことがあると言われている患者さん
- 心臓に穴が開いているといわれたことのある患者さん
- 先天性に心臓弁膜症があり治療を受けたことがある患者さん
- 大血管転位症と言われ、手術を受けたり経過観察をされたりしてきた患者さん
- 単心室症と言われて治療を受けたり検討されたりしてきた患者さん
- 先天性心疾患に伴うチアノーゼを有する患者さん
- 先天性心疾患の治療後に側副血管などで治療を繰り返している患者さん
- 先天性心疾患の治療後に不整脈をきたしペースメーカー植え込みを行われた患者さん
- 小児期に川崎病を患った患者さん(冠動脈瘤や狭窄があることがあります)
- 先天性または遺伝性の心筋疾患(拡張型心筋症、閉塞性肥大型心筋症など)の患者さん
2. 成人期になって初めて先天性心疾患と診断された患者さん
- 未治療の心房中隔欠損症。心房性不整脈や肺高血圧症や心臓弁膜症や不整脈を伴うことがあります
- 未治療の心室中隔欠損症。肺高血圧症や心臓弁膜症を伴うこともあります
- 未治療の房室中隔欠損症。肺高血圧症や心臓弁膜症を伴うこともあります
- 未治療の動脈管開存症。肺高血圧症などを伴うこともあります
- 未治療の部分肺静脈還流異常症。肺高血圧症や心臓弁膜症を伴うこともあります
- エプスタイン病。右心不全などを伴うことがあります
- ウール病等の心筋疾患。心不全を伴うことがあります
- 未治療の大動脈弓縮窄症。脳動脈瘤や左室肥大などを伴うことがあります