血流力学の概要

流体の定義

空気などの気体、水や血液などの液体を合わせて流体と呼びます。

血流と流体力学

流体力学の考え方では,流れという物理現象を把握するためには,任意の時間での血流の速度と圧力の分布がわかることが必要だとされるますが,速度は大きさと向きを持つためベクトル量であり,圧力は血圧であり,スカラー量です。

血流の流体表現方法(Lagrange表現法、Euler表現法)

もうひとつの表現法であるEuler表現について説明すると、ある一定の場所で観測し続け、そこを通過する流体粒子を測定する方法です。

流体(血流)を記述する方程式

血液のような液体(流体力学では非圧縮性流体と呼びます)においては、流量の保存則と運動量の保存則が適法されます。
 流量の保存則は空間の微小領域で
     流入量  = 流出量
という方程式で表され、一元の方程式であり流入および流出量は基本的に速度×(微小)断面積で算出されるためこれらは速度に関する方程式になります。
 一方で、運動量の保存則は力学の基礎方程式(Newtonの運動方程式)で表すことができ、
       質量×加速度 = 力

という関係式を各微小領域の流体に適応される計算式になりますが、流体にとっての質量は単位時間当たりの質量、すなわち血液密度に相応しております。
一方、加速度は血流速度の時間微分です。また、流体にかかる力は旋回に伴う力、圧格差、そして粘性に伴う摩擦力、その他の重力など外力であり、数式に表すと、
 密度×加速度  = 旋回力+圧格差+粘性摩擦(+外力)
これらは力の釣り合い式であり、本質的にはベクトルに関する3次元の恒等式で表されます。この方程式をNavier-Stokes方程式と呼びます。
血液物性値としては密度と粘性係数の物性値があれば成立する方程式であり、上述のように速度ベクトル 3 成分と血圧スカラー量 1 成 分の 4 つの未知数を支配する法則が,流量保存による 1 本の方程式と空間 3 方向での運動方程式(Navier‒ Stokes 方程式)による 3 本の方程式で支配されるため数学的には必要十分となっております。しかしながら実際には 粘性摩擦項が二回微分を含み,旋回力の項が非線形な構造を有し,未知数の一つである圧力が圧較差の項で のみ出現し極めて複雑な数学的な構造を有しており, 古典的な微分方程式の解法(定数変化法や変数分離法など)では容易には答えのでない方程式であり、
現在においてもNavier‒Stokes 方程式 の解の性質については数学上の未解決問題の一つとされております。数学上の未解決問題として有名なトポロジーの問題としてPoincare予想(Perelmanによって解決済み)やZ関数のRiemmann予想など並んでミレニアム懸賞問題となっております。

参考文献 ・天性心疾患治療における血流解析手法の役割 板谷 慶一 ,山岸 正明 ,夜久 均 共著

・マンガでわかる流体力学 武居 昌宏 著